「プロコフィエフ短編集」を読んだ
以前、作曲家セルゲイ・プロコフィエフについて文を書いた。
その中で、彼が書いた小説集があると述べたが、日本語訳されたものを手に入れた。
手には入れたが、身構える。僕の頭で理解できるか不安だ。何しろ先鋭的な音楽を多々世に送り出してきた、あのプロコフィエフが書いた小説なのだ。
読んでいて、自立したエッフェル塔が歩き出した時は「これはやべえ」と思ったが、日本語に訳してもらっていることもあり、案外と内容は掴めた。
一番面白かったのが時間と空間がねじれてしまう「紫外線のきまぐれ」だ。詳しくはネタバレなので伏せる。
「罪深い情熱」など未完のものも多いが、続きが気になってしまう。どう着地させようと考えていたのか、想像もつかない。
彼がアメリカ亡命の過程で日本に数ヶ月滞在していたのは有名だが、短編集の最後には日本滞在時の日記が付録されている。これは面白い。
100年前の話だが、こんなところに訪れていたのか、ここにも立ち寄っていたのかと興味深い。箱根や軽井沢に行ったり、奈良公園の鹿にエサをやっていたりもしたらしい。
中には、東京滞在中に書いた小説もある。
それにしてもこの男、多才である…